白馬大雪渓、今年は通れる?現状の見通し

昨年は記録的な少雪と高温の影響で、白馬大雪渓ルートが7月上旬に通行止めとなり、登山の予定を変更された方も多かったのではないでしょうか。では、今年2025年はどうなるのか――。気になる大雪渓の現状と、今シーズンの見通し、そしておすすめの登山時期についてご紹介します。

今シーズンは雪が豊富。ただし自然相手なので油断は禁物

日本三大雪渓である「白馬大雪渓」は、夏でも雪の上を歩けるダイナミックなルート。毎年多くの登山者が訪れる人気の道です。

2024年は冬の降雪が少なく、春からの急な気温上昇も重なり、例年に比べてかなり早い7月上旬で安全確保が難しくなり、やむを得ず通行止めとなりました。

一方、2025年の今冬は雪がしっかりと降り、現時点では6月末ごろから夏道が通行できる見込みです。白馬村や山案内人組合、山小屋の関係者が密に連携しながら、状況を見守っています。

白馬大雪渓

ただし、今年も5月から30度超えの日が続くなど、高温傾向が早くも見られます。
自然が相手ですので、「必ずこの時期なら大丈夫」とは言い切れません。直前の天気や雪の状態を見ながら、柔軟に計画を立てるのがおすすめです。

白馬岳最短の登頂ルートは、意外と登りやすい?

「雪渓を登るのは難しそう…」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの白馬大雪渓ルートこそが、白馬岳登頂への最短ルートであり、最も歩きやすいルートでもあります。

なぜなら、雪の上は一歩ごとに小さなステップを刻んで歩けるため、岩場よりも安定して登れるのです。
急な段差が続く岩場をよじ登るより、同じ傾斜でも足元を選びながら歩ける雪上ルートの方が、むしろ初心者にも優しいという声も少なくありません。

ポイントは「簡易アイゼン」の装着です。特に下りは滑りやすくなるため、アイゼンは必須。登りも、あった方が断然楽です。
登山口近くの猿倉荘では簡易アイゼンのレンタルも行っているので、道具がなくても安心してチャレンジできます。

また、落石はどの山でも注意が必要ですが、雪渓の上でも油断は禁物。登山中は周囲の音や上方を意識しながら、安全第一で歩きましょう。
岩肌に近づくと落石リスクが高まるため、ルートから外れて岩場に近寄らないようにすることも大切です。

大雪渓を越えると、そこには「天空のお花畑」が待っている

白馬大雪渓を登りきった先、白馬岳の稜線に向かう途中に広がるのが、白馬の“お花畑”。この一帯は、例年7月初旬から中旬にかけて、多種多様な高山植物が咲き誇る、まさに自然の楽園のような場所です。

ハクサンコザクラ、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲ――色とりどりの花々が、雪解け直後の湿った土から一斉に芽吹きます。中でも、白馬岳は日本でも屈指の高山植物の宝庫として知られ、世界でも有数の高山植物の多様性を誇る山です。毎年この風景を目当てに訪れる登山者も少なくありません。

登山の疲れも忘れるほどの絶景が、雪渓を越えたその先に広がっています。急な坂を登り切ったあとの「ごほうび風景」として、ぜひ目に焼き付けていただきたい場所です。

稜線の先に広がる、“天空の宿” 白馬山荘

雪渓を抜けて稜線にたどり着くと、そこに待っているのが「白馬山荘」。日本最大にして最古の山小屋で、標高2,832mに位置し、まるで天空の宿のような非日常の時間が流れます。絶景カフェレストラン「スカイプラザ」で楽しむビールや軽食は、登山の疲れを吹き飛ばしてくれることでしょう。

白馬山荘と夕焼け

天候に恵まれれば、夕暮れの稜線や満天の星空、朝の雲海など、息をのむような景色と出会えることでしょう。
白馬山荘は温かい食事や寝具が揃っており、ベッドルームやソロ用個室(2畳個室)、複数名様向けの個室(6畳・8畳個室)などさまざまなお部屋の種類があり、初心者でも安心して泊まることができます。

登山口までのアクセス|猿倉駐車場は使用不可

2025年は、登山口に最も近い猿倉駐車場が使用できません。そのため、お車でお越しの方は、八方エリアの無料駐車場(第5・第3・ローソン東側)を利用して、そこから登山口近くまでバスまたはタクシーでアクセスするルートとなります。

運行スケジュールは時期により変動があるため、出発前にアクセスページより各社の公式サイト等で最新情報をご確認ください。

まとめ|今年こそ、雪渓を歩く登山体験を

今年の白馬大雪渓ルートは、現時点では通行可能なシーズンになる見込みです。
ただし、雪解けの進み方や気温の上昇、梅雨時期の天候によっても状況は変わりますので、天気と情報を見ながら、柔軟な計画を立てることが大切です。

「雪の上を歩くのは初めて」という方も、ぜひこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
高山植物が咲き始め、山々が目覚めるこの季節。大自然の息吹を感じながら、一歩ずつ白馬岳の頂を目指す時間は、きっとかけがえのない思い出になるはずです。

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