残雪期の花 ツクモグサとウルップソウ 

高山植物の宝庫として知られる白馬岳。大雪渓の上に広がるお花畑はよく知られています。7月中旬~8月中旬はまさに百花繚乱、美しい高山の花々が登山者の目を楽しませてくれます。

お花の種類が豊富な白馬岳、実は6月~7月にかけても高山にのみ生息する希少なお花、ツクモグサとウルップソウを見ることができます。ツクモグサとウルップソウは、本州では白馬岳と八ヶ岳の一部にだけ自生している希少な高山植物です。

ツクモグサ(九十九草)

ツクモグサ

ツクモグサ(九十九草)はキンポウゲ科の多年草で、高山植物の中では最も早く開花する植物のひとつです。黄色い花弁にふさふさの産毛が生えていて、遠目には可憐なお花に見えますが近くで見ると力強さを感じます。

雪解け一番に顔を出すフキノトウと色合いが似ており、厳しい寒さの中雪の下でじっと春の訪れを待っていた植物に共通する配色なのでしょうか。白馬岳周辺では5月下旬~6月中旬の残雪期に開花します。

ウルップソウ(得撫草)

白馬山荘前からのウルップソウと剣岳

ウルップソウ(得撫草)はゴマノハグサ科の多年草で、梅雨時期後半、6月下旬あたりから8月上旬に開花します。葉っぱは楕円形で、長さ幅とも4~10㎝の肉質で光沢があります。青紫色の花をつけ、晴れた日の青空と稜線とのコントラストがとても綺麗です。

起源をたどると氷河期に南下してきたとのこと。長い地球の歴史の中で強くたくましく生き続けてきているのですね。環境省によりレッドリストの準絶滅危惧にも指定されています。

ツクモグサとウルップソウを観察できるポイント

ツクモグサとウルップソウは白馬岳頂上直下の白馬山荘周辺でも見ることができます。多くの登山者が訪れる7月中旬はすでに咲き終わっていることもあり、生き生きした姿を見たい場合は6月下旬頃までにお越しいただけると良いと思います。

※天候や残雪の状況により、開花時期は変動します。

ただ、6月はまだ残雪期。白馬大雪渓はもちろん一面雪ですが、登山道の多くが雪に覆われている時期です。雪山に対応できる装備と知識、経験が必要です。不安な方はガイドさんと一緒に登山すると安心ですね。